〒319-1711  茨城県北茨城市関南町関本下1050番地 TEL 0293-46-1121

内科 陳 嘉辰

 皆さんも一度は咳に悩まされたことがあるのではないでしょうか?当院にも、咳が止まらず受診される方が多くいます。今回はその咳について一緒に勉強していきましょう。
 咳は、一般に気道に異物や刺激物が入ったときに生じる、体の防御反応です。気道は、口から咽頭(いんとう)・喉頭(こうとう)を抜けて気管、肺へ至る空気の通り道です。その空気の通り道に異物が入ると、それらを外に吐き出そうと咳が生じます。
 日常診療の中で、咳の原因として最も頻度が高いのは、風邪などの呼吸器の感染症です。風邪が治っても、その後咳だけが長く続いた経験はありませんか?それは多くの場合、「感染後(かんせんご)咳嗽(がいそう)」と呼ばれるものです。風邪が治ってもしばらくは気道に軽い炎症が残っていたり、過敏性が高い状態が続いていたりするために生じると考えられています。
 風邪が1週間くらいで治っても、咳だけが数週間続くことはよくあります。基本的に感染後咳嗽は自然と落ち着くものですから、特別な治療は不要です。これは正常な体の防御反応だからです。ただし、咳のせいで夜も眠れない、我慢できないなどの不都合がある場合は、対症療法として咳止めを処方します。しかし、咳を100%止めることはできないため、ご了承ください。咳止めにはいくつか種類がありますが、処方薬以外にも、はちみつに処方薬に劣らないほどの咳止め効果があることが、近年の研究で示されています。1歳未満の乳児には与えてはいけませんが、眠る前に小さじ一杯程度のはちみつは効果的です。
 咳が長期間続く場合、例えば月単位で続く場合は精査が必要です。長く続く咳の代表例として、気管支喘息や逆流性食道炎が挙げられます。これらの病気は、きちんと検査をして治療を行えば治るものです。特に風邪をひいた後でもないのに咳が止まらない、しばらく様子を見ても良くならない、悪くなる一方だといった場合は、病院を受診しましょう。