内科 井上 和之
「たばこ」に世知辛い世の中にはなってきましたが、いまだに男性の約3人に1人、女性で約6人に1人は喫煙者です。私は今年から北茨城に赴任しましたが、この地域では平均に比べると少し多いような気がします。ということで、今回は身近でも意外と知らないたばこの話です。
最近は、隣人や健康に配慮した(と言われている)新しいたばこも出ていますが、「加熱式たばこ」は、たばこ依存症の原因となる「ニコチン」が入っていて、さらに有害物質もゼロにはなりません。ニコチンが入っていないと言われる「電子たばこ」でさえ、安全性はいまだ未知の部分があります。たばこで気分が落ち着くのもニコチン切れのストレスを解消するだけで、今のところ「たばこ」と名の付くものを吸って良いことは無いのが現状です。
もちろん、健康に悪いなんていうのは皆さんよくご存じで、「俺(私)は太く短く生きるから」という方々もおられるかもしれませんが、たばこで発症すると言われている脳卒中、心筋梗塞、COPD(慢性閉塞性肺疾患:慢性気管支炎や肺気腫の総称)では、後遺症が残ることも多く、喫煙者にとって「ピンピンコロリ」はとても難しいのです。
「禁煙を頑張ってみたけどうまくいかなかった」という方も多いとは思いますが、今は病院で禁煙ができる時代です。禁煙外来では、3か月間(そのうち通院は5日間)貼り薬を使ってニコチン依存を改善していきます。医師と相談しながら禁煙を進めていけるので、悩んでいる方にはお薦めです。禁煙外来の費用は3か月間で約1万3千円ですが、たばこは1日1箱吸っていると同じ期間で約4万2千円かかるので、1か月で約1万円も節約できます。物価の上がっている昨今では、お財布にも優しく家計は大助かりですね。ちなみに、3か月というのは、人が習慣を変えるのに有効な期間だそうですよ。
また、喫煙は認知症のリスクになることもわかっています。大切な家族と長く人生を楽しみたい方は、たばこに火をともす前に、まずは禁煙外来のやっている医療機関にご相談いただければうれしく思います。