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内科 大森 達郎

 春が近づいておりますが、まだ寒い日が続いております。皆様はいかがお過ごしでしょうか。今回は尿潜血検査についてお話ししたいと思います。
 尿に血が混じる、いわゆる血尿は、尿を作る腎臓や尿の通り道の病気のサインです。目で見て判断できる血尿は肉眼的血尿と言い、さらに重要な病気のサインです。例として、膀胱癌の85%は肉眼的血尿を契機として発見されます
 一方、目で見て尿の色の変化はわからないものの、尿検査で血が混じっている状態を顕微鏡的血尿といいます。顕微鏡的血尿でも、がんなどの重要な病気の危険信号の場合がありますので注意が必要です。
 健診で血尿と指摘される方はご高齢の方ほど多く、性別では女性の方が男性より多いです。報告によって差はありますが、小中学生の健診では1~3%、80歳以上の女性では15~27%、男性では7~17%との報告があります。   
 健診で血尿を指摘されたら、医療機関の受診をお勧めします。
月経血の混入や激しい運動、感染などの関与で一過性に血尿が出ただけで、医療機関受診時には血尿が消失しており事なきを得ることもあります。 
 一方、血尿がある場合は、尿検査のほかに超音波検査を行います。超音波検査は簡単に行え、痛みもなく、がんや尿路結石の有無などさまざまな情報が得られる有用な検査です。さらに何らかの疾患が疑われた場合には、CTやMRI、採血、膀胱鏡などいろいろな検査を行っていきます。 
 特に喫煙者で肉眼的血尿がある場合には、膀胱癌などの疑いがありますので、尿のなかに癌細胞が混じってないか尿細胞診という検査を行います。また、痛みの少ないやわらかい電子スコープを用いて膀胱の中を観察したりします。
 いずれの病気にしても、はやく見つかれば体に負担のすくない治療が可能になります。健診などで血尿を指摘された場合はお近くの医療機関を受診ください。