外科 松浦 博和
夏の暑さは残りつつも、秋の訪れを感じられる季節となってきました。皆さんいかがお過ごしでしょうか?今回は、大腸癌についてお話ししたいと思います。
日本人の死因の第1位は、癌や肉腫などの悪性新生物です。その中で大腸癌の死亡数は、女性では第1位、男性では肺癌、胃癌についで第3位となっています。さらに食生活の欧米化のため、この半世紀で死亡数がおよそ8倍となりました。具体的な数値でいうと、年間10万人以上の人が大腸癌と診断され約5万人が大腸癌で亡くなっています。正常な大腸粘膜の細胞の遺伝子に、変異が生じると癌が発生します。大腸癌の発生には、良性のポリープである腺腫が癌に進展する経路と、発癌刺激を受けた正常粘膜から直接的に癌が発生する経路の2つの経路があります。皆さんは定期的な検診の受診をしていますか?
大腸癌の検診として、便潜血検査があります。2日分の便を採取し、便に混じった血液を検出する検査です。癌やポリープなどの大腸疾患があると大腸内に出血することがあり、目に見えない微量な血液を検出します。大腸癌の死亡率を減少させることが科学的に認められており、便潜血検査を毎年受診した場合には33%、2年に1度受診した場合でも13~21%大腸癌の死亡率を減らすことができます。年1回の検診を受けることが大切です。
もし陽性となった場合には、病院を受診していただき大腸内視鏡検査を行います。ただし、便潜血陽性=大腸癌ではありません。ほとんどの人は良性のポリープなどの軽度の異常や異常なしであることが多いです。検査の苦痛や偶発症のリスクもありますが、大腸全体を内視鏡で観察する方法で、診断精度が極めて高い検査になります。
大腸癌は早期に発見し治療を行えば、治癒や高い生存率が見込める病気です。早期発見・治療を行う上でも定期的な検診の受診は欠かせません。大腸癌検診の対象は40歳以上の方となってしまいますが、気になる方は、市の検診の受診をご検討ください。もし検診の結果陽性だった場合は、市民病院をはじめ病院を受診して医師にご相談ください。