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市民病院事業管理者 田渕 崇文

 

  わが国において1年間で約37万人の方が、がんにより亡くなっています。その数は年々増えています。
  「がん」はご自身の臓器にある細胞の遺伝子が変異してがん化していく病気です。その遺伝子変異をさせる要因には、食生活、運動、睡眠や、嗜好物など、日常の生活習慣が深く関わっています。
  がん予防の12か条は皆さんご存知でしょうか。以下に列挙します。
  1)タバコは吸わない、2)他人のタバコの煙を避ける、3)お酒はほどほどに、4)バランスのとれた食生活、5)塩辛い食品は控えめに、6)野菜や果物は不足にならないように、7)適度な運動、8)適切な体重維持、9)ウィルスや細菌の感染予防と治療、10)定期的ながん検診を、11)身体の異常に気がついたらすぐ受診を、12)正しいがん情報でがんを知ること。以上12項目を見てみると生活習慣に関連する項目が多いのにお気づきでしょう。生活習慣とがんの関連を具体的に挙げますと、喫煙、受動喫煙は肺がんや咽喉頭がんなど、深酒は消化器がん、特に食道がんや肝臓がん、赤肉、加工肉や、脂肪食の取り過ぎは大腸がん、塩辛いものは胃がん、肥満は大腸がんのリスクを高めます。さらに持続的な強いストレスの環境でも発がんリスクは上がります。適度な運動をしてリラックスして生活する工夫も大切です。一方、緑黄色野菜をバランスよく摂取することは発がんリスクを低下させます。生活習慣ではないのですが、ウィルス感染、細菌感染も発がんに関連します。ヒトパピローマウイルス感染による子宮頸がん、ヘリコバクター・ピロリ菌感染の胃がん、肝炎ウィルス感染による肝臓がんなどがよく知られています。
  がんは何年という長い年月をかけて成長していきますが、体内でがん細胞が増殖するにつれ、その発育は加速度的に早くなり転移をきたすことになります。若い時から正しい生活習慣を身につけ「がん」にならないように生活してください。更に、早期の発見が大切ですので、是非「がん検診」を受けてください。