北茨城市民病院 外科 田 口 怜
職場の検診などで便の検査をされた方は多いと思います。そこで今回は、その便の検査はどういう意味を持つのかを説明したいと思います。
検診などで行う便の検査は便潜血検査と呼ばれます。便潜血検査は、スクリーニングとして広く普及しており、便をスティックで採取して提出するだけの非侵襲的な検査です。便潜血陽性は採取した便検体の中に血液が混じっているということを指します。普通、食べたものは胃や腸を通過する際には血液が混じることはないため、血液が混じっているということは特に腸に病気が潜んでいる可能性があることを示唆します。
では、便潜血陽性と診断された場合、どれくらいの確率で「本当の病気」なのでしょうか?
この検査は、あくまでも「疑わしい患者様を拾い上げる」検査と位置付けられています。
しかし、そうは言っても、便潜血陽性の方から大腸ポリープが見つかる確率は、50%前後と言われており、大腸がんが見つかる確率は2~3%と報告されています。大腸ポリープは稀ではない疾患です。そして大腸ポリープの中には、今後癌などの悪性腫瘍に成長していくものもあります。特に、①50歳以上、②大腸がん・大腸ポリープの家族歴、③高カロリー摂取及び肥満、④過量のアルコール摂取、⑤喫煙は大腸がんの危険因子です。心当たりがある方は当院を始め医療機関を受診しましょう。