北茨城市民病院 内科 宮本 卓
今回は皆さんにとっても身近な飲酒に関してのお話です。
日本人は古くからお酒を人生の潤いとしてきましたが、「酒は百薬の長」と評される一方で、歴史を紐解いても過剰な飲酒に対する戒めは枚挙に暇がありません。アルコール依存症の患者は国内で400万人以上とも言われており、日本人の3大死因「がん」「心疾患」「脳血管疾患」の原因の一つが飲酒であるとされています。適度な飲酒が心血管死を減らすとの海外の研究結果から、これまで1日にビール中瓶1本程度のアルコール量を適量とする飲酒は健康に良いとされてきました。しかし、その後の数多くの研究から知見が蓄積され、最近では「飲酒を全くしない方が健康に良い」という認識が主流となり、定説は覆っています。「酒は飲んでも飲まれるな」と言いますが、過剰な飲酒は生活の質を落とし、容易に人に道を誤らせます。特に茨城県は飲酒による死亡事故が全国で常に上位であり、飲酒運転には格段の注意が必要でしょう。
過剰な飲酒習慣がある方は、当院附属家庭医療センターで吉本尚先生が飲酒量低減外来を行なっておりますのでご相談ください。およそ1年前から行なっており、現在までに50人ほどの方が相談にいらっしゃっています。飲酒は出来れば控えることが望ましく、どうしても飲む際には1日にビール中瓶1本程度を上限とするように、上手に付き合いましょう。
これから春先にかけて少しずつ暖かくなり、お花見のシーズンが到来します。皆さん、過剰な飲酒にはくれぐれも気をつけてお過ごしください。