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北茨城市民病院 内科 大久保 初美

 

 結核というとどういうイメージがありますか?昔の病気、高齢者の病気など、そんなイメージがあるかもしれません。しかし、実際は誰にでも身近に起こりうる感染症です。日本の結核の罹患率は、13.9/10万人対(2017年)で、米国やヨーロッパ諸国(3~9/10万人対)と比較すると、まだまだ高いと言われています。近年では、結核に免疫を持たない若年層での流行や抗結核薬が効かない菌(耐性菌)の出現が問題となり、また、ネットカフェやカラオケ、パチンコ、サウナなど、集団感染の場も多様化しています。結核は、自分だけではなく、多くの他人に感染させてしまう病気です。まずは、自分自身の予防と早期発見・治療が最も大切です。

 結核は、咳でばらまかれた菌を吸い込むことで感染し、免疫が落ちている場合に発病します。症状は、咳や痰、微熱、倦怠感など症状は様々なので、わかりにくいことも多いです。咳により菌をばらまいてしまうため(排菌)、咳が長引くときには医療機関に相談して下さい。結核と診断された場合には、耐性菌のため複数の抗菌薬を併用し、時間をかけて治療します。新たに耐性菌を生まないために中断することなく治療を受けることが重要です。

 何はともあれ、発病させないことが大事なので、まずは免疫を落とさないことが重要です。きちんと食べる、睡眠を十分とるなど、生活習慣の改善や糖尿病など持病をお持ちの方は、その治療をきちんとすることが大切です。

 結核は身近な感染症です。予防と早期発見をこころがけましょう。