北茨城市民病院 内科 大澤 亮
夏があっという間にやってきましたが、いかがお過ごしですか。
今回は睡眠についてお話をします。若い頃と同じように眠れない、以前より寝つきが悪くなった、孫が夜更かししていて心配など、睡眠の問題は生活と切り離すことはできません。
睡眠の問題で最も大切な事は「夜眠れなくて昼間のパフォーマンスが落ちていないかどうか」です。昼間のパフォーマンスが低下している場合には睡眠の問題を疑いましょう。睡眠は、体内時計と日中の活動量、睡眠環境、睡眠関連疾患、内服薬、元々持っている病気が関係します。ここからは少し解りにくい体内時計と日中の活動量について説明します。
体内時計は、サーカディアンリズムとも言われます。睡眠にはメラトニンという物質が関係しており、このメラトニンが蓄積すると人は眠くなっていきます。日光を浴びると脳内でメラトニンが作られるのを防ぎ、覚醒しやすくなります。起床した後は徐々にメラトニンが脳内で作られ続け蓄積し、就寝前に最も眠くなります。このリズムがサーカディアンリズム、つまり体内時計になります。
年をとってくると就寝時間が早くなり、早朝2,3時に目が覚める様になる事があります。これは体内時計のリズムが前倒しになっているためですので、夕方に日光を2時間ほど浴びると修正できると言われています。夜更かしで起床時間が遅い人は、昼前に起きたとしてもしっかりと日光を浴びる様にしてください。そうする事で夜に眠くなりやすくなります。もちろん言うまでもないですが、寝る前にゲームをしていて眠れていない場合は、いくら他を改善しても体内時計のリズムは良くなりません。
次に日中の活動量についてです。人は活動量に応じて、アデノシンという物質が体内に貯まってきて眠くなっていきます。眠れないからといって早くに布団に入っても、アデノシンが貯まっていないと眠れませんので、眠くなってから布団に入るのが良いでしょう。コーヒー等のカフェインが眠気防止に良いと言われているのは、このアデノシンの蓄積を一時的に感じさせないようにさせる働きがあるからです。
この他、睡眠の環境、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠関連疾患や元々持っているアレルギー性鼻炎による鼻閉なども睡眠に関連してきます。
睡眠にはいろいろな問題が関係していますが、しっかりと睡眠を取るために大事なことは「規則正しく起床し就寝するように毎日の習慣を変えること」です。夏に負けないように質の高い睡眠を十分に取りましょう。