内科科長 藤枝 毅
日本では約150万人から200万人の方がC型肝炎ウイルスに感染していると推定されています。しかし、C型肝炎は自覚症状がないことが多いので、感染していることに気づかない方もおり、治療を受けずに放っておくと、10年~30年後に肝硬変や肝がんに移行する可能性があります。C型肝炎に対する治療法は進歩しており、早期に発見し、適切な治療を行えば肝硬変や肝がんへの進行を防ぐことができるようになってきました。 現在のところ、C型肝炎ウイルスを排除できる可能性のある唯一の治療法はインターフェロン療法であり、飲み薬の抗ウイルス薬と組合せた治療法が中心となって行われております。2008年4月から、C型肝炎に対するインターフェロン治療を受けられる方に対して、医療費の公的な助成制度が始まっています。また、ウイルスが排除できなくても、AST(GOT)、 ALT(GPT)を長期間できるだけ低い値に保つことができれば肝がんの発生リスクを軽減できることが報告されており、肝庇護(かんひご)薬という種類の飲み薬・注射薬や、少量のインターフェロンがこの目的で使われます。
C型肝炎ウイルスは主に血液を介して感染します。現在は対策が取られていて、輸血や血液を原料とした薬から感染することはありませんが、そうした対策が取られる前に、具体的には1992年(平成4年)以前に輸血を受けたことがある方や大きな手術を受けたことがある方などは、ぜひともC型肝炎ウイルスの検査を受けてください。また、現在でも刺青やボディピアスなどで感染することがあります。検査は採血だけの簡単なものですので、御心配な方はお住まいの地域の保健所や医療機関で検査を受けることが可能ですので、一度お問い合わせください。検査の結果、C型肝炎ウイルスに感染していることがわかったら、たとえ症状がなくても医療機関を受診することをお勧めします。