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内科 山本 翔太郎

 今回は、心不全についてお話しします。心不全が怖い病気であることと、生活習慣が治療において重要であることを少しでも多くの方に知っていただけたら嬉しく思います。
 心不全とは何でしょうか。文字どおり心臓の不全、まっとうに働くことができない状態です。心臓はご存じのとおり、全身に血液を送る重要な臓器ですから、心臓が悪ければからだ全体に影響が出ることは理解しやすいかと思います。
 どのような症状で心不全を疑い、受診した方が良いのでしょうか。軽い運動で息切れしやすくなった、息苦しくて横になれない。手足や顔がむくむ、体重が急に増えてきた、夜中に咳が出る、食欲が落ちてきたといった症状があった場合には可能性があります。心配な方は、お気軽にご相談ください。受診して何もなかったとしても、診察・検査による安心が得られます。
 心不全には、「急性心不全」と「慢性心不全」という二つの呼び名があります。呼吸状態が普段よりも悪化し、入院を要する状態が急性心不全です。入院加療で改善し、安定している時期も含め、長い目で見た経過が慢性心不全です。なぜ、慢性心不全という考え方が必要なのか。それは、心不全を起こした場合、心臓は元どおりに改善しないからです。心不全を起こすたびに心臓の機能はどんどん落ち、心不全の入院を繰り返すことで余命は大いに短くなります。つまり、心不全を起こさないことが重要なのです。
 では、どういう生活が心不全のリスクになるのでしょうか。高血圧や糖尿病等の生活習慣病、喫煙、過度な飲酒、肥満は心不全のリスクとなります。薬の飲み忘れ等による心不全発症というケースも少なくありません。安定しても、受診継続をお勧めします。心不全を起こしたことのない方も、心不全を起こしたことがある方も、これらの管理を徹底することが長生きに直結するといっても過言ではありません。
 最後に、心不全は怖い病気です。薬も重要ですが、何より生活習慣こそが治療・予防の要です。症状のみならず、日常における改善点の疑問もあれば気兼ねなくご相談ください。今回のお話が、皆様の治療意欲向上と健康維持に繋がることを願っております。