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歯科口腔外科 飯泉 成一郎

 本日は口腔癌についてお話させていただきます。皆さんも口腔癌という病名については聞いたことがあっても、実際にどのようなものなのかはそれほど詳しく知らないのではないでしょうか。
 日本人では近年およそ100万人の癌罹患患者がいると報告されており、口腔癌の割合はそのうちの1%程度、つまり1万人程と言われています。口腔の中でも特に舌にできることが多く、次いで歯肉、頬の内側の粘膜などに発症することが多いです。
 口腔癌の他の癌と異なる特徴の一つとして、直接目で見える範囲に発症することがほとんどなので、本人が鏡で見て、あるいは他の人から指摘されて偶然見つかることが多いということがあります。内臓の癌ではそうはいきませんよね。見た目の変化に気づくことは口腔癌の早期発見のための重要な第一歩です。
 では具体的にどのような変化が出てくるのかと言いますと、いわゆる口内炎に近い見た目が多いです。口内炎は口の中の粘膜が欠損し、粘膜が落ちくぼんで深い層が露出し白っぽく見え(潰瘍といいます)、触れると強く痛みが生じるといった病気なのですが、この特徴は口腔癌の初期症状とかなり一致しているのです。    
 口内炎と口腔癌を見分けるための一番簡単な方法は、しばらく様子を見てみる事です。通常の口内炎であれば二週間ほどもあれば自然治癒することがほとんどですので、「二週間経過しても全く潰瘍が小さくならない」というような時には市民病院をはじめとした歯科医師にご相談していただくのがよいでしょう。
 また、口内炎のような見た目を呈さない口腔癌も比率は少ないですが存在するため、「口の中の粘膜に違和感があるけど口内炎っぽくはないから癌ではないのかな」というような思い込みも危険です。
 口腔粘膜の違和感が長期間続くようなときは遠慮せずに、かかりつけ又は当院の歯科医師にご相談ください。