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北茨城市民病院 外科 小出 綾希

 

 みなさんは、大腸憩室症をご存知でしょうか。腸の壁の一部が、外側へ小さな袋状に突出したものを憩室と呼びます。それが大腸にできると大腸憩室症と呼ばれます。憩室は腸の壁がそのまま突出する真性のものと、腸の筋肉のすき間から粘膜だけが突出する仮性のものがありますが、大腸の憩室はそのほとんどが仮性です。ですから大腸憩室の壁はとても薄くて耐久性が低いのが特徴です。大腸のカメラでは4人に1人くらいの割合でこの大腸憩室症が見つかります。そのうち6割くらいの人は無症状で治療の必要もありませんが、残りの4割の人は何らかの症状、たとえば下痢・軟便・下血・お腹の張り、便秘、腹痛などが出現します。このような症状が出現する際には、憩室に便などが詰まって炎症が生じていることが多く、入院して絶食と点滴治療を行います。また、重症化する場合もあり、憩室に穴が開いて(穿孔・穿通と呼びます)、腹膜炎を起こします。こうなると外科的な手術が必要となってしまいます。いったん炎症が引いても、繰り返し再発することも多く、炎症による繊維化で腸がとても狭くなる場合もあります。
 近年の高齢化・欧米食化で大腸憩室症の患者数は急激に増加しています。上記のような症状があっても、病院を受診することなく放置しているうちに重症化してしまうケースも多く見受けられます。
 このように大腸憩室症は、けっして軽んじてはならない病気のひとつだと言えるでしょう。もちろん当院外科では、軽症から重症まで、すべての大腸憩室症の患者様に対応致します。気になるお腹の症状があれば、お気軽にご相談ください。