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北茨城市民病院 事業管理者 田 渕 崇 文

 今回は喫煙のお話です。皆さんご存知のように厚労省は喫煙に対する強い規制強化として、国民の8割を超える非喫煙者を喫煙者の煙から受ける健康被害から守るため、多数の者が利用する施設等の一定の場所での喫煙を禁止する方針を検討しています。
 喫煙者もタバコが健康に悪いことを理解していると思います。日本たばこ産業の調査では喫煙率は1966年の49.6%から2016年には19.3%に下がっています。しかし、やはり禁煙できない方も未だにいます。
 

 喫煙は「がん」、「心筋梗塞」、「脳血管障害」の3大死因をはじめ、気管支喘息、肺気腫、慢性閉そく性肺疾患、Ⅱ型糖尿病、胃・十二指腸潰瘍、骨粗しょう症、歯周病、不妊、認知症、老化、その他多くの病気と密接な関係があります。タバコに含まれる3大有害物質は①昔はゴキブリの駆除剤に使われていたニコチン、②多くの発がん物質が存在するタール、③酸素運搬に障害をもたらせ慢性的に組織を酸欠状態にさせる一酸化炭素です。厚労省調査によると喫煙者の死亡率は非喫煙者に比較し男性は1.55倍、女性は1.89倍高いと言われています。
 

 喫煙は自己責任ですが、周囲の人への健康被害にも配慮しなければなりません。喫煙者の周囲の人は、喫煙者が吸い込んだ煙(主流煙)と、タバコから立ち上る煙(副流煙)を吸うことになります。すなわち受動喫煙です。有害物質はタバコから立ち上がる煙に多く含まれます。受動喫煙と関連がある病気は小児では乳幼児突然死症候群、呼吸器感染、気管支喘息、肺機能障害、中耳炎など、成人では脳卒中、鼻刺激症状、肺がん、心血管疾患、女性の生殖機能障害などが発症する危険性があります。

 喫煙は百害あって一利なしです。